2016年2月14日日曜日

かんじる比良の活動

今年も5月16と17日に「かんじる比良2015」が開催された。
比良山系と琵琶湖に囲まれた自然豊かな湖西の春のイベントとして8回目を迎える。
38の出展のお店や作家の工房が約10kmほどの地域に点在するが、
琵琶湖の蒼さと比良山系の緑を見ながらの散策は中々に楽しいものである。
今回参加のお店を回りながらも強く印象に残ったのは、比良山麓や林の中にある
お店の柔らかな雰囲気と集う人たちの醸し出すゆったりとした雰囲気だった。
雑踏の中で味わうコーヒーや食事とは全く違う世界での体験であり、ここで
生活を営む人たちの心地よさをおすそ分けするかのようなおもてなしがある。
効率性と非人間性の優先される日常の日々では味わえない空気をその五感で感じる
ことができる。そんな雰囲気を味わいたいのか、今年も二日間とはいえ、大阪、
兵庫、京都、福井からの参加も含め5000人ほどの来場者があった。
「かんじる比良の会」代表の山川さんとのお話や当日の情景を交えながら報告する。

大津市の北に位置する比良は、琵琶湖と比良山系にはさまれ、人々の暮らしと自然が
融合した地域である。また、古代から交通の要衝でもあり、多くの古墳や城跡が点在
もする歴史や文化が息づいている地域でもある。そのような中に、先祖伝来から
この地に暮らしその伝統や田園を守り続けてきた人、この地に魅せられ移住
してきた人、ギャラリー・工房を構え創作活動する人など様々な人々が思い思い
の暮らし方で住んでいる。

「かんじる比良」は2007年11月、19店のショップと作家さんのご協力
で始った。比良地域の自然、歴史、アート、文化、食の魅力を発信しようと
湖西線沿線の蓬莱から北小松に点在する工房を中心に飲食や雑貨を扱う店などが参加
した。また、比良の雑木林や湖はモノつくりの人たちの創作の場としても愛され
ており、地域の作家さんの協力で比良川の畔で野外造形展も開催された。
2回目以降は「滋賀の作家展」が地域のお寺の本堂で開催され、3回目は、大津市
の歴史博物館で比良から離れて開催する事も試みられた。2008年は大津市の
新パワーアップ・夢実現事業に認定され、のぼり、巡回バス、ポスター、ガイド
ブックが活用された。それ以後、手作りから始めたイベントもホームページや
facebookの開設やイベントが終わったあとでも来られる人のために工夫した
ガイドブック作りなど試行錯誤を重ねながら地域のつながりを更に強めるイベント
になって行った。
「かんじる比良」は、比良に住み、仕事場としてその自然に触れながら生活を
する陶芸作家、木工の職人、カフェ経営者などが「かんじる比良の会」の実行
委員会として、その年の初めから毎年5月の開催に向けて出展者を集め、地元や
関連部門との調整、広報のためのポスターやガイドマップ作成、ホームページ
の更新などを進めていく。今回も40人の会員(うち出店者38店)と10人の
協賛会員がそれぞれの役割分担で、イベントを開催した。ガイドマップ作りや
ホームページ更新などは全て委員会のメンバーの手作りであり、会場の運営も
ボランティアや協賛メンバーの支援で行っている。
人とのつながり、地域とのつながりがこのイベントの特長でもある。
当日は、普段は公開していない作家の工房やアトリエを開放したり、ギャラリー
などでは地域にちなんだ展示をしたり、比良にゆかりのある作家たちの作品展、
里山コンサート、各参加店では「かんじる比良」限定企画など開催してきた。

「この比良には、琵琶湖と比良の山並に囲まれた自然があり、それに魅かれて
移り住んでいる陶芸や漆塗り、木工などの作家が多くいる。また、パンやケーキ
などの食を扱うお店も点在している。この人たちを上手く結び付けられないか、
ここの良さをもっと知ってもらえないかと思ったのが、始まりです。」
と山川さんと話す。
一日目は、少し曇っていたが、二日目は気持よく晴れ上がった。山側の工房や
お店を探訪するには、木洩れ日の中をゆったりと歩き、湖畔のお店では、琵琶湖の
さざなみの中で一服する。そんな光景も見られた。いずれもこの自然に引き
寄せられてきた人々がその想いを分けるような気持ちで訪れる人を招き入れる。
その自然体のやり方が、このイベントの良さであり、他では出来ない「おもてなし」
なのであろう。

更に、山川さんは、
「工房や作家さんたちは、本来の仕事を中断しての出店であり、無理をせず、
出来る範囲で出展をお願いしている。ただ、来てもらった人たちが楽しく
過ごしてもらいたいとの想いから工房の開放、体験教室、ミニコンサート、期間中の
特別メニューなどそれぞれが工夫を凝らし楽しく盛り上げてもらっています。
この楽しさが参加者と出店者の共感となって今日まで続いて来たような気がする」。
無理をしないという点では、今でも続くこの周辺の遺跡めぐりの「歴史ハイキング」
も会員の負担となるため、秋に1回の開催とした。運営も今は、会員の会費と企業
からの協賛金のみ、開催に絡む様々な対応は会員のボランティアであり、会員の
持つ様々なスキルを上手く使いながらの手作りである。無理をせず自分たちの
出来る範囲でやる、これが「かんじる比良」の力となっているようだ。

最後に山川さん言ったことは地域で何かをやっていきたいと思う人には、
あらためてかみしめて欲しいもの。
「かんじる比良はこの地に住む人の間から生まれた活動ですが、これを進めて
行く中で、出店者同士のつながりが出来たり、そのつながりが新しいつながりに
なったり、移住して来たばかりだが地域へすぐに馴染めた、など自然発生的な
コミュニティが出来つつある。また、新しく来られた人からこの地域の素晴らしさ
を古くからの地元の人が教えてもらうといったことも出て来た。
比良と言う良さをもっと知り、そのつながりを広め、もっとローカル
にやって行きたい」。

かんじる比良2015に開催されたイベントを紹介します。 
5月15日(金)
かんじる比良2015・作家と職人展 作家展は15~17日の3日間 
5月16日(土)
かんじる比良2015・本イベント 歩いて感じる比良の風・作家と職人展  
5月17日(日)
かんじる比良2015・本イベント 歩いて感じる比良の風・作家と職人展  
5月17日(日)
おやこ泥んこ・とうげい教室  

同時に、比良麓の会自治会館「森の家」にて、
「かんじる比良2015 作家と職人展」も開催されていました。
以下の多くの作家さんたちの出店作品があり、木洩れ日の注ぐ中で静かに
勧賞できました。
【陶芸】加藤和宏 / 加藤敏雄 / 木村展之 / 木村隆 / 玉川義人 / 中島千英子
     中野悟朗 / 村田真人
 【染織】中島千津 / 平井恵子 / 宮﨑芳郎
 【漆芸】廣田千惠 / 藤井收
 【木工】臼井浩明 / 雄倉高秋
 【油彩画】岡本裕介
 【平面】村井宏二 / 村井由美子
 【立体】山内鈴花
 【写真】佐伯俊次 / 内藤美智子 / 平田尚加 / 吉田信介
 【刺繍】岡村達
 【仏像】安田明玄
 【仏画】安田素彩
 【靴】大村寛康

かんじる比良2015の参加店紹介
今回は比良周辺のお店や工房が38店参加しました。
1)パン工房ヤックル
静かな場所にひっそりとある小さなパン屋です。かぼちゃやじゃがいもを練り込んだパ
ン、北海道産小麦や沖縄の塩・三温糖・さくらたまご・天然酵母・・・素材にこだわっ
たパンも作っています。
2)青木煮豆店
昭和7年からこの道一筋。化学着色・保存料・甘味料など一切使用していませんから、
お子様からご年配の方まで安心して召し上がっていただけます。
材料・調味料にこだわって、手作りしています。昆布巻きはかまどで長時間炊いていま
す。とても柔らかいです。特に煮豆入りのどら焼きは人気商品です。
3)FICA
この土地に暮らし始めて8年目を迎え、スクラップブッキングの教室は、スタンダード
で長く大切にできるような手作りのアルバム作りを目指してこれからも、
みなさまと一緒に楽しい時間を共有していきたいと思っております。
4)靴つくり
初心者向けのワークショップ(靴教室、鞄教室、革小物など)も行っております。
5)アルカドッグトレーニング
比良の自然の中でゴールデンレトリーバーと暮らして27年になります。ワンちゃんの
年齢や犬種などにあったワンちゃんにわかりやすく楽しい方法で、飼い主様にも簡単
で楽しいしつけ方を提案しています。
6)R cafe
雄大な比良山の麓にあり、目の前にはびわ湖が広がる。そこはまるでハワイのようなロ
ケーション。開放感のあるウッドデッキで地元比良米や高島の野菜を使ったボリューム
たっぷりのハワイアングリルランチが楽しめます。
7)ほっとすてぃしょん比良
地元産の美味しいお米と大豆が原料のお味噌を中心に惣菜やお弁当・製菓・パンなど
地域の食材を活かした農産加工をする北比良グループ(地元主婦9名)のアンテナ
ショップで軽食喫茶と加工品の販売・情報発信と交流の場として活用して
もらってます。
8)北欧直販
私が若かりし頃、勤務先営業所がデンマークに赴任する事となり、その後この地に
移り住み、北欧地域の良い商品をお手頃な価格で消費者にお届けする、事を
信条としています。
9)Gallery skog(ギャラリー スクーグ)
skog のある高台は偶然に出会った場所でしたが、ここなら感動する風景に出合えると
直感しました。3階のCafeでは琵琶湖と比良山系の見える風景を喜んで頂いています。
skog では年間6回の企画展を開催しています。
10)TOPPIN OUTDOOR & TRAVEL
バックパックひとつを背負い、6年をかけて飛行機なしで世界を一周後に、ここ北比良
に小さなアウトドアショップを作りました。キャンプ・BBQ・登山など自然の中で遊ぶ
ためのアイテムをたくさん取り揃えています。
11)森のACHA(もりのあちゃ)
どこか懐かしい風景が広がる比良…! 風の音、小鳥のさえずり、青空、山、木漏れ日
のさす森、まるで私たちの心に残っているふるさとのようです。
森の ACHA はそんな比良の自然に魅せられて9年前にカフェとしてオープンしました。
12)Roz & Mary Cafe(ロズアンドマリー)
フワフワに焼き上げたボリュームたっぷりの特製シフォンケーキと人気のパスタ&カレ
ーのお店です。シフォンケーキだけを一途に追求し続けて30年、その思いをギュッと
つめてカフェをオープンさせました。
13)ちゃわん 比良八光窯(加藤敏雄 陶芸作家)
くらしを彩り、味わえる、やきもの、長年研究した青磁と黒土の墨流し(色泥流し)で
作品を作り又、古琵琶湖の土も取入れて穴窯でやきものを作っています、ぜひ、比良の
自然とともにやきものと人の出会いを楽しんでください。
14)アントレ
アンティークギャラリー「アントレ」は昭和初期の古い洋トラスを再利用し、入口はリ
フォームした蔵戸を用いています。古い物を大切に使っていくことをコンセプトにした
お店です。壊れかけた古い家具類をリフォームして再生し、味わい深いアイテム類を提
供します。
15)ヒラノハナレ
北比良の森の中で、フィトテラピー整体サロンをしています。皮膚に直接丁寧に触れる
ことで、脳の深いリラクゼーションを体感いただき、ご自身の自然治癒力を高めていき
ます。
夫が営む自然農を手伝いながら「ねっこのごはん」としてもイベント出店もして
おります。
16)庭工房 “ギャラリー季気”
18年前に大阪より、自然豊かなこの”比良の地”に魅せられて転居してまいりました。
住宅の仕事からライフスタイルに合った「家と庭」の関係を追求し続け、エクステリア
&インテリア雑貨販売とガーデンエクステリアのデザインをしています。
17)イタリアンピザレストラン “季気 HOUSE”
自然大好き、アウトドア大好き人間です。物心ついた頃より、この地にあこがれて
いました(東近江市出身)。庭からは比良山系の堂満岳(1057m)が望め、
周囲は森に囲まれた山好きの人にとっては絶好の憩いの場所です。
18)ホリデーアフタヌーン
ホリデーアフタヌーンは手作りへのこだわり、アットホームなおもてなし、自由な遊び
心で出来上がっています。手作りなのは食事や内装だけではなく、お客様に満足いく
ホリデーアフタヌーンを過ごして頂く癒しの空間を作り続けています。
19)ほとり・ポトリ
琵琶湖のほとりで、私たちにできることをひとしずくずつ、やっていきたいという思い
から、スローカフェを始めました。自然素材でリフォームした空間は、裸足で過ごし
たくなる居心地のよさです。オーガニックでスローな飲み物と南インドカレーを
ご用意しています。
20)ドッグスクール「比良ドッグファーム」
この地域は犬と暮らすには最高の場所だと思っております。少し歩けば雑木林・琵琶湖
・美しい小川と犬達と遊ぶのに事欠くはありません。そんな環境の中で犬達ともっと
楽しく暮らしたいと思い、しつけ、ドッグスポーツを始めました。
21)Cafe COCOKUON(カフェ ココクオン)
比良山、琵琶湖にほど近く、四季の移り変わりを五感で感じられる素敵な場所にありま
す。地元の無農薬野菜をふんだんにつかい、手作りにこだわった心温まるお食事を
ご用意いたします。人と人とのつながりが織りなすご縁を感じながら日常を
ふっと忘れられます。
22)アンティークハウス DーYrs.(ディーユアーズ)
23)MANA(shop YUMEYA)
お菓子作りの道一本でパティシェールとして長年働いてきました。お菓子を作らせて
いただく毎日を過ごしております。オーダーメイドのケーキは、お客様の希望を伺い、
色々な種類の物をお作りさせていただいております。
24)SOUP FURNITURE(スープファニチャー)
パイン無垢材を使用したシンプルで丈夫で長く使える家具を、子供用から大人用まで、
用途、スペースに合わせて、お客さまのご要望をお聞きしながらお作りさせていただき
ます。セルフビルドのショールームもじっくりご覧ください。
25)古民家風貸別荘 夢湖庵
「夢湖庵」は都会の喧騒を離れ、辺りを一周するだけで心がホッとする自然空間が
いっぱいです。徒歩7分のところには湖面がキラキラと輝き、琵琶湖で泳いだりのん
びりと釣りを楽しんだり。裏山には県下一の落差を誇る「楊梅の滝」もあります。
26)木原食品
大正時代に創業し先人の思いを受け継ぎ、琵琶湖の恵みを大切にし、琵琶湖の四季折々
の旬のおいしさを一人でも多くの方に味わっていただけたら。と日々心を込めて炊いて
います。
27)布工房 モッサリーナ
琵琶湖を見下ろすアトリエで木綿や絹など古布と取り組んで小物、袋物、身の回りの品
などを作っています。お教えすることも可能です。
28)H&K craft
雪景色の比良に魅せられ、ゆったりした時を過ごす比良での日々の暮らしの中で、
天然石の持つパワーを、普段使いの中で気軽に感じられるようにアクセサリーにし、
素朴な木の雑貨や、古くから日本にある和紙と布帛でステーショナリーや小物
を作っています。
29)慧夢工房(えむこうぼう)
「こころと体にやさしいものづくり」をめざして、無垢材を使った家具づくりを中心に
様々なものづくりに夫婦で取り組んでいます。水・木・金・土には木工教室を開講し、
木工の基礎から応用まで自分だけのオリジナル木工製品を作ることができます。
30)純jun-楽布絵
草花などをスケッチしたり、孫と一緒に絵を描いたりしたものを題材に、布製のものに
京都友禅の染料で描くことを趣味として楽しんでいます。
31)コトブキ
仕事は物を完成させると同時に人との出会いの場でもあります。
ものづくりその職人さんを育てるため、国家試験技能検定委員の任命を頂き、職人さん
の育成にも取り組んでいます。
32)Cotton Field パッチワーク教室
デッキから琵琶湖を一望できる黄色いログハウスでパッチワーク教室を開いています。
パッチワークはコツコツ地味な作業の積み重ね… 出来上がりはその人の心がこもった
温かい肌触り、優しく可愛いキルト作品となります。
33)タコス屋 エル・チャンガーロ
ぺルーやメキシコで暮らした後、ここ比良山の麓でゆるーいタコス屋をはじめました。
とうもろこし粉 100% のトルティージャに、お肉やチーズ、手作りサルサなどをはさん
だメキシコ風タコス。トマトやハラペーニョなども自家栽培をめざして頑張ってます。
34)L.A.S.
体に優しい琵琶湖と比良の自然に魅せられて二年前に移住してきました。
今回は、静かな森の中から世界に向けて発信している、自然と人々の調和をテーマにし
たものを選び、琵琶湖で育った真珠、版画や骨董品などを販売しています。
35)Mandala’s@一休庵
別荘なんですけど、かんじる比良の2日間はこの庭を楽しんでいただきたくて毎年
マルシェをひらいています。おいしいコーヒーがあったり、すてきなアクセサリーが
あったり、良い出会いがありますように。ヨガのワークショップも開催予定です。
36)ティーツリーガーデン tea tree garden
当店は、小さな小さなお庭屋さんです。私たちが子供だったころ、庭には木が茂り、
花が咲き、縁側で花火をしたり、夕涼みを、庭にいて自然と会話が生まれました。
豊かな暮らしが生まれる庭づくりがティーツリーガーデンの庭作りです。
37)陶房 木村
琵琶湖湖西の北小松というところで陶器の製作をしております。
38)湖西焼 圓工房(圓口功治(まるぐち こうじ))
自然に囲まれながら、京三島の伝統技術を伝承しつつ、湖西焼を広めるため、日々創作
活動をしています。

なお、当日の様子は、以下のfacebookページにも載っています。
https://www.facebook.com/kanjiruhira?fref=ts

かんじる比良の参加者は作家から喫茶店、アウトドアや家具の販売店など
多種多様です。
しかし、そのような多様な人たちの集まりですが、1つ大きな共通点があります。
雪に覆われた比良の山々と黒く静かな琵琶湖、春の様々な花々に彩られる里山や
かすんだ中に浮かぶ湖、そして深い緑におおわれた山麓に涼風の流れを感じる夏、
すべてがここに住む人々に感じられる情景なのです。
皆さん、比良のこの自然に憧れてここに住みたいと思った方なのです。林や森の
中にそれぞれが想いの深いお店として点在する地域がここ比良であり、それを
見せるのがこの「かんじる比良」の役割なのかもしれません。
 
以下のブログでも紹介しています。

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